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演劇:複雑な関係②

 プレーズは最終的には、第二の条件を断わるためにも、まず女のヌードを措き上げてその画料二〇万フランで小切手を決済しなければならないわけだが、はたと困ったのはヌードのモデルである。そこで彼は田舎娘のマリイを説得してヌードになることを承諾させようとこころみる。

*こんなエッチな絵を措いたのはいったいなんて奴ですか
*モジリアニだ
*この女もエッチですねえ

 というようなことでなかなか話はまとまらないが、ついに「ダソナさんのためなら」ということでマリイは裸になってモデル台に立つことを承知する。

 しかしそうは言っても生娘のマリイがそうそう簡単に、画家とはいえ、若い男の前で裸になれるわけもなく、ヌード画がまだ措き上がらないうちに、カルリエに「情婦との時間」を過ごさせるためにこの部屋を貸す日が来てしまったのである。半日十二万フランという「賃貸料」の中には、プレーズの気持としてはジュヌヴィエーヴの「賃貸料」も含まれていたことであろうが、しかしカルリエが今日ここで逢引きをしたのは、彼女とは似ても似つかぬ若く情熱的なスペイン女ベビータであった。

 そうした忙しい日々の中で、プレーズは仮雇いの女中のはずのマリイに共犯者のような連帯感を抱くようになり、一方マリイも「ダソナさん」のためを思って心死で協力している自分の心の中に1人の「女」を感じるようになっていた。

 ジュヌヴィーヴが来たのを、てっきりカルリエとここで情事を行うためと思いこんでいたプレーズは、スペイン女ベビータがカルリエのお目当ての女と分かってホッとほしたが、そのことをジュヌヴィエーヴに知らせることも、また、カルリエにジュヌヴィエーヴの来ていることを知らせることも同じようにまずいので、その二人の女をそれぞれの部屋に閉じこめるために大いに汗をかくのであった。
 どうやらおさまりかかったと思ったところへ、スキーで脚を折ったために急きょ帰宅を余儀なくなった家主のアリアーヌが車椅子に乗ってご帰還になったのである。弱り果てたプレーズを見かねて、マリイは手近にあった銀盆でアリアーヌの頭をたたき気絶させた上で、衣裳戸棚の中に車椅子ごとかくしてしまうのであった。

 無事カルリエとベビータを寝室に送りこみホッとする間もなく、新しい災難が、次々とプレーズの頭上にふりかかってくるのである。
 まずパアの娘ローラがプレーズに自分の大嫌いな胸毛があるかどうかをたしかめるのと、同時に自分が「ペチャパイ」であることを知ってもらうためとで、コートの下はビキニという姿で訪ねてくる。
 次にそのローラとの話が終わらないうちに、カルリエ夫人が訪ねて来てしまったのである。こうして各々の部屋に「間題の人々」が全員集合して、いわば一触即発の危機をむかえたプレーズは、なんとか一人ずつこの家から逃がそうと思いつき、衝立てをうまくつかって、まずカルリエを脱出させようとするのだが、あわやという一瞬にカルリエをおおっていたヴェールがはがれて夫人の目にとまって万事休す!

 だがその間にマリイは、プレーズがアルバイトに売り歩いていたほうきをまとめて五万本もカルリエに売りつけることに成功していたのである。
 戦いすんで日が暮れて、茫然自失するプレーズに、マリイはほうきを売ったもうけが一千万フランもあると報告する。
誰もいなくなったガランとしたアパルトマンの混乱した部屋の中で、二人は心から抱き合うのであった。